丹菊整形外科

関節リウマチの主な症状は、関節の腫れと痛みです。最も症状が起きやすいのが手首や手足の指の関節です。朝起きてから1時間以上関節がこわばって動かしにくいといった特徴があります。関節リウマチと良く似た病気に、使い過ぎや高齢のために関節が変形し痛くなる変形性関節症があります。この病気は関節を動かした時に痛みが出ることが多いですが、関節リウマチの関節痛は腫れを伴っていて動かさなくても痛いのが特徴です。
また関節リウマチの発病は30〜40歳代に多く発症します。性別では女性が男性の5〜6倍多く発症します。近年は高齢者でも発症する患者さんが増えてきました。

関節破壊が起きる前に診断し治療を開始することで機能障害を防ぐことが重要と考えられるため、早期に診断することが推奨されるようになりました。腫れて痛い関節が1つでも存在し、それがリウマチによる炎症と確認されればリウマチと診断可能です。さらに血液検査や超音波検査などを用いて腫れた関節がリウマチによる炎症かどうかを判定します。リウマチ専門医による診察と診断が必要になります。

基本は炎症を抑え痛みを取ることと関節破壊を抑えることの2つです。そのために薬物治療、手術治療、リハビリテーションなどがあり、これらを組み合わせて個々の患者さんにあった治療を行います。

薬物治療

抗リウマチ薬、非ステロイド性消炎鎮痛薬（痛み止め）、ステロイドなどがあり、これらを組み合わせて処方します。
抗リウマチ薬は炎症を抑え関節破壊の進行を抑制する働きがあります。特にメソトレキセートはリウマチ治療の最も基本的な薬です。週に1または2日のみ服用します。副作用としては肺炎、貧血、肝臓の機能障害、口内炎などがあり定期的な血液検査を行う必要があります。その他にもサラゾスルファピリジン、ブシラミン、イグラチモドなどの抗リウマチ薬が発売されています。これらの薬を組み合わせて処方します。
最近はさらに生物学的製剤やJAK阻害薬という抗リウマチ薬が発売されました。生物学的製剤にはバイオシミラー（ジェネリック医薬品のようなもの）が発売され、安く治療を受けられるようになりました。
どの薬も利点は関節破壊の進行を強力に抑えることができること、より強く炎症を抑えることができることです。副作用はアレルギー反応が起こることがあること、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱くなることが主なものです。これらの薬によって関節リウマチの治療は飛躍的に進歩しました。以前の薬では痛みや関節破壊を止められなかったリウマチも治療が可能となりました。
ステロイドは炎症を抑えるために一時的に投与します。非常に効果的な薬で速やかに炎症や痛みを抑えることが出来ます。しかし関節破壊を止める作用はありません。また長期に服用すると骨粗しょう症や糖尿病、さらには細菌等に感染しやすくなるなどの副作用が出てきます。そのため一時的投与はよいが長期的投与は勧められません。また急に服用を止めてしまうと再び炎症が悪化することがあるので医師の指示に従って服用することが大切です。
非ステロイド性消炎鎮痛剤の副作用は長期服用で胃腸障害、腎障害などが報告されています。長期に服用している患者さんには定期的な胃腸の検査と血液検査を受けることをお勧めします。最近では胃腸障害が出にくい痛み止めもあります。

リハビリテーション

痛みのために体を動かさないでいると筋肉が弱くなり関節が固くこわばったままになります。これらを防ぐためにリハビリテーションを行います。毎日継続して行うことで機能障害を防ぐことができ、痛みもやわらいできます。

手術治療

投薬やリハビリテーションを行っても痛みが取れない場合や関節破壊のため日常生活に支障をきたす場合に手術を行います。近年は抗リウマチ薬の進歩によりリウマチの手術件数は減少しつつあります。またその内容も膝や股関節の手術数は減少し、手や指の手術が増えています。これは患者さんの病状が安定するようになり、より日常生活動作の改善を求めるようになったためと考えられます。

近年関節リウマチの治療の進歩はめざましいものがあります。しかし関節破壊が進行してしまうと治療にも限界が出てきます。早期に診断し治療を始めることでリウマチでない人とほとんど変わらない生活を送ることが可能です。リウマチかな？と思ったら早くリウマチ専門医の診察をうけることが重要です。